- 理論と経験を繋ぐ
自然科学を発展させてきた仮説演繹法(=経験的に観察されたパターンを説明する理論を立て,実験的に検証する)という手法は,生態学などのマクロな生物学にはそぐわない場合がしばしばあります.その理由は,古典的な生態学理論がベースとする生物間相互作用に次の3つの特徴があるからです.
1) 観測の困難さ:生態系やその変動は大規模・長期にわたる
2) 解析の困難さ:生物量や分布は時空間的に複雑な動態を示す
3) 操作の困難さ:生物量や相互作用は単一の’モノ’ではない
私はこれらの難点を克服するために,数理モデリングやシミュレーションなどの従来の手法に加えて,非線形力学系理論や時系列解析法を用いて自然科学の経験=観測データから直接テストできる新たな生態学理論の構築を目指す研究を行っています.